『元病院薬剤師』の最近の過ごし方
『病院薬剤師』を辞め、主夫しながら、ブログを書いたり、YouTubeに動画をUPしてのんびり過ごしています。子供の頃は、TVをよく見ていましたが、最近はニュースを少し見るくらいで、空いた時間は、Amazon prime Videoを見 ています。 友人と疎遠になり、飲み会などで外に出る事もなくなりました。子供が寝てから、1人でハイボールを飲むのが日課です。
最近prime videoで何見たの?
松本人志プレゼンツの『FREEZE』シーズン2が見れるようなったので見たよ。
Amazonオリジナル番組のやつね!面白かったんですか?
シーズン1に比べるとチーム戦みたいになっちゃって正直微妙だった。
他には何見てるの?
千鳥の相席食堂とか鬼滅の刃は面白かったよ。手軽に見れるprime video最高!!
話が逸れそうなので、prime videoの話はこれくらいにしときます。コロナの影響で、放送が延期になったフジテレビのドラマ『アレサン グ・シンデレラ病院薬剤師の処方箋』が7月16日(木曜日よる10時放 送)からスタートしました。
薬剤師会も会員に、ドラマを見るように通達するくらい『薬剤師』の仕事を世間に認知させる為に必死に後押していました。
医療系ドラマは、白い巨塔、Dr .コトー診療所、医龍など『医師』『看護師』 がメインになる事はあっても『病院薬剤師』をメインターゲットにす る連続ドラマは史上初。 薬剤師の仕事は、医師の処方箋に基づく調剤や服薬指導だけでなく、 医薬品管理や事務仕事など、多岐に渡ります。『薬剤師』は、世間的には脚光を浴びるような仕事ではないですが、患者が日常生活を取り戻す為に、陰ながら奮闘しています。 私自身も過去に『病院薬剤師』として仕事をしていましたが、一体どんな内容の構成になっているのか気になり、ドラマを見る事にしました。
石原さとみ演じる『葵みどり』
ドラマ版アンサング・シンデレラ
石原さとみ演じる『葵みどり』は、キャリア8年目の病院薬剤師の設定となっています。8年目の薬剤師は中堅くらいなので、病院においては、主任的なポジションです。薬剤部主任は桜井ユキが演じていますので、そろそろ主任に昇格するような立ち位置でしょうか。
第1話は、葵みどりが『病院の外にはそれぞれの大切な日常があって、 これからもそれぞれの未来が続いていく』『それを守っていくのが私 達薬剤師の仕事だ』というセリフから始まります。 第一話は、蜂に刺された患者がショックを起こし、アドレナリンを投与されますが、心停止を起こしてしまいます。 葵みどりは、患者のポケットからビソプロロールを服用中である事に気が付き、医師にグルカゴン投与を提案します。
もっと詳しく知りたい➡︎日本アレルギー学会のアナフィラキシーガイドライン
続いて、病院薬剤師の仕事が紹介されました。『入院患者が薬をしっかり飲んでいるかどうか確認する事』これはサービスではなく、お金をしっかり取られています。(薬剤管理指導料)
調剤室での仕事紹介
葵みどりは『調剤室は戦争状態だから気をつけて』と、新米薬剤師の相原くるみに説明します。調剤室に一歩足を踏み入ると、外来調剤(院内調剤)60分待ちです!アムロジピン(降圧剤)補充しといて!! と、バタバタしていました。 葵みどりは、病棟にいた時間(患者一人一人に関わる時間)が長いと、薬剤部主任の刈谷奈緒子に文句を言われます。
病院にもよりますが、一日中薬作りっぱなしとかは普通にあります。調剤が忙しくても、毎月指導件数の報告があり、件数が下がると院長や上司から色々言われるので、時間外に指導する事も多く、残業する日が多かったです。
フジテレビホームページの人物相関図を見てみると、萬津総合病院薬剤部で働く薬剤師の数は10人。実際には、もっと人数いる設定かもしれ ませんが、1日800枚を10人で調剤する事は、正直言って過労死レベルです。バタバタした状況だと、ミスも起こりやすくなるし、こんな職場では働きたくないかな。薬剤師業界は、最低限の人数で運営している事が多いので、病院でも薬局でも、忙しい職場が多いです。
落ち着いて仕事したいなら、他の職種を選んだ方が良いです。
ランソプラゾール3錠分3の義義紹介
薬剤師として経験を積んでいけば、ランソプラゾールの分3なんか違和感を感じるでしょう。
全国で処方される処方箋枚数は、約220万枚/日で、そのうち疑義照会される枚数は6万枚/日 処方変更が必要になったケースが7割に当たる4万枚あると紹介されていました。仮に間違いをスルーしてしまったら、責任取らなくてはいけません。その為、薬剤師賠償保険に加入は必須です。
葵みどりは、電子カルテで処方した医師の名前を確認して、 内線電話を使用して連絡しますが繋がりません。 数年くらい働いていたら、先生の1日の行動が大体分かってくるので、ある程 度の居場所の予測は可能です。医局に行ったり、病棟看護師に聞いて、所在を確認すれば大概はなんとかなります。
食堂で処方医を見つけ、腰を低くして疑義照会しますが、医師からは 『こんな所で疑義照会するなよ』『薬剤師は医者がいないと何も出来ないのか』と大声で言われます。
ドラマのような医者も現実にはいますし、正反対の医者もいます。これは、どの職種でも同じ事が言えますが、病院の構造的には、医者➡︎看護師➡︎その為の職種となっています。
病院薬剤師になって、どれだけ頑張っても医者には適いません。
医師に処方提案
葵みどりが、夜間当直の際に妊娠後期の偏頭痛を訴える患者に、ロキソ ニンが処方(妊娠末期は禁忌)された事から、カロナールに処方変更 を依頼する為に、疑義照会を産婦人科の研修医にします。 疑義照会後に、薬を取りに来た夜間当直の看護師さんに偏頭痛を訴えた患者が妊娠33週である事から、DI室で書籍を取って調べ始めました。 葵みどりは、気になった事をすぐに調べ始めましたが、新人薬剤師は、すぐに他人に聞いてしまいがちです。
病院薬剤師として働いていくなら、人に聞く前に、自分で調べる癖を付けないとやっていけません。
その後偏頭痛が改善しないとの事で、葵みどり、研修医から別の薬を検討したいと相談を受け、他に訴える症状はないのか研修医に聞きます。 胃の痛み、眼がチカチカする(視力障害)症状より、 別の疾患(HELLP症候群)の疑いがある事に気がつきます。
DI室で、葵みどりが手に取った書籍の中の一冊が家にあったので調べてみた。
HELLP症候群について記載は無し。
患者の病室に入った葵みどりが、血圧を測定していた所、主治医の医師(薬剤師の意見を聞いてくれない先生)から『勝手な行動をとるな』『患者を診察して良いのは医師だけだ』と叱責されます。 これについては主治医の言う通りです。
薬剤師が意見を言うこともありますが、葵みどりがとった行動は、今の『病院薬剤師』の仕事としてはありえません。作者が薬剤師なので、『病院薬剤師はこうなって欲しい』との願いが、ドラマに反映されているのでしょう。
第1話を見終わって
アレサング・シンデレラの初回放送を見てみましたが、薬局のCMが流れたり、『薬剤師業界』が全力で応援しているドラマなんだと肌で感じる内容でした。 『病院薬剤師』をターゲットにした医療ドラマは、今後の『薬剤師』はこうなって欲しいとの思いも込めて作られているので、現状の『病院薬剤師』とは少しかけ離れている事は、頭に入れながらドラマを見ると良いでしょう。
ドラマを見て懐かしい気持ちに浸れましたが、葵みどりのようにモチベーションはなく、これからの人生で、『病院薬剤師』として働く事はないでしょう。これからも、やりたい事をやって、自由に生きていきます。